なぜ、「うさぎ」?

「それに、銅の山脈では、うさぎは『変化を運んでくる動物』として知られている」トゥラルパンが言います。

第七話、218頁

なぜ『うさぎ!』?主人公も「うさぎ」。

上に挙げた引用に、うさぎは変化を運んでくる、とある。

確かに著者は今の世界に変化を求めている、と思う。


ところで前にも書きましたが、登場人物のうさぎくんは、読んでいると著者の印象と重なる。

ものすごく重なる。


うさぎくんが話者の回を読んでいると、つい、小沢健二さんが話しているみたいに思ってしまう。

『うさぎ!』の「はじめに」にもあったけど、各回は、まるで友人に宛てた私信のようにも読める。

友人と語り合う会話を切り取ったような印象。難しい話題なのに、難しくなく読める易しい口調。

大勢の人、ひとりひとりと直接に話すことはできない。でもきっと、著者はできることならそうしたかったんだと思う。

お話を、実際に口から紡いだ言葉で、渡したかったのだと思う。

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